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『火の鳥《オリジナル版》 全12巻』刊行記念特集

『火の鳥』を読み、考える、それぞれの防災

巨匠・手塚治虫の代表作にして、日本漫画史上不滅の傑作『火の鳥』。
35年間もの長きにわたり、愛・生命・宇宙の神秘を、壮大なスケールと鮮烈なイマジネーションで描き続けられた超大作です。
東日本大震災から10年を迎え、また新型コロナウイルスへの恐怖や不透明な明日への不安にさらされる日々において、生きるとは、命とは、といった根源的な命題を抱えることの多い昨今、手塚治虫から『火の鳥』を通して受け取ることのできる、過去から私たちに託すメッセージは含蓄に富んでいます。 復刊ドットコムでは、“新”『火の鳥《オリジナル版》』全12巻の刊行を記念し、特集 "『火の鳥』を読み、考える、それぞれの防災" をお届けいたします。

『火の鳥』に見る災害

太古の昔より、日本は地震・噴火・洪水など災害の多い列島です。
『火の鳥』シリーズの中でも様々な災害が発生し、物語の中で登場キャラクターたちを翻弄する、転機として描かれます。

 

​『火の鳥』の中で描かれる災害

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噴火

 

火の鳥を追い求めるあまり、弓彦の忠告も聞かずに火の山にヒミコが進軍している際に、噴火。噴火に伴い発生した噴石や地割れ、溶岩、噴煙で、グズリとヒナクが山に閉じ込められるなど、多数の被害が出ました。

(黎明編​より)

災害から命や大切なものを守るためには、私たち一人一人の災害に対する心構えや知識と備えが重要ですが、最近の調査 で、人がどれだけ防災意識をもち行動を起こすかは、性格診断で分類される「パーソナリティタイプ」によって大きく傾向が分かれ、そのタイプにより防災意識が高まるきっかけ(= 防災スイッチ)に違いがあることがわかりました。

パーソナリティ別防災タイプとは?

パーソナリティ別防災タイプは、「Big5理論」を用いた性格特性分析により、対象者の性格を6つのタイプ「バランス」「まじめ」「穏やか」「個性派」「繊細」「優等生」に分類したものです。
各タイプは「外向性」「協調性」「勤勉性」「神経症傾向」「開放性」のそれぞれの指数によって決定しています。

そのパーソナリティタイプによって、防災行動につながる「防災スイッチ」がそれぞれ存在します。例えば、優等生タイプで男性の人は、「尊敬する人が防災をポジティブに実践している」、「話題の最新テクノロジーを用いた防災アプリを知る」など、自分を成長させることにつながることが、防災行動につながる傾向にあります。

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登場キャラクターのパーソナリティ別防災タイプ

様々な災害に見舞われた登場キャラクターたち。『火の鳥』で描かれた様々なシーンを分析、登場キャラクターのパーソナリティを6つのタイプ「バランス」「まじめ」「穏やか」「個性派」「繊細」「優等生」に分類し、防災傾向や防災スイッチについて考察しました。

 
1. ヒナク(黎明編)
ヒナク(黎明編)
ヒナク(黎明編)

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ヒナク(黎明編)
ヒナク(黎明編)

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【キャラクター紹介】
​ウラジの元妻。くされ病にかかり瀕死の重症のところをグズリに命を救われ再婚する。虐殺から逃れ、クマソ唯一の生存者となる。村を再建するためにグズリとの間に子供を産む。
【パーソナリティ分析】
​一族のしきたりによって、本来は殺されるか奴隷にされる運命のグズリの身を引き取り、弟のナギの教育を依頼したり、自ら夫婦の誓いを結ぶことで、ついには一族にグズリを仲間として認めさせた真っ直ぐな性格、またところどころ心配性な性格も見え隠れする。
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【黎明編 あらすじ】
3世紀の倭(日本)、ところは熊襲。主人公のナギの姉ヒナクは破傷風にかかり、生死の境をさまよう。ヒナクの夫であるウラジは妻を助けるため、飲むと不老不死になれるという火の鳥の生き血を求めて火の山に入るが、火の鳥の炎に包まれ死んでしまう。そんな折、村の海岸に漂着した異国の医師グズリが現れ、最新の医学知識でヒナクを救う。やがてグズリとヒナクは恋に落ちる。ところが婚礼の夜、グズリの手引によって、多数の軍船から猿田彦率いる防人の軍団が上陸。グズリはヤマタイ国のスパイであった......。。
 
2. マサト(未来編)
マサト(未来編)
マサト(未来編)

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マサト(未来編)
マサト(未来編)

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【キャラクター紹介】
​本名は山之辺真人。ヤマトの人類戦士で階級は二級宙士。タマミのおかげで人間らしさを取り戻し、火の鳥により地球を救う人間としての運命を授けられ、不死の命を持つ。
【パーソナリティ分析】
​同期にも関わらず上司であるロックから受けた「タマミを始末しろ」という命令に対し、仕事への責任感から一度は了承して家に帰るものの、結局自分の感情を優先して愛するタマミは殺さないなど、パーソナリティには全傾向の特徴が現れている。
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【未来編 あらすじ】
西暦3404年、 メガロポリス・ヤマトの二級宙士マサトは、宇宙生物ムーピーの変身した娘タマミに恋したため当局に追われる。火の鳥に導かれた二人は、孤高の科学者・猿田博士に出会うが......。
 
3. ブチ(鳳凰編)
ブチ(鳳凰編)
ブチ(鳳凰編)

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ブチ(鳳凰編)
ブチ(鳳凰編)

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【キャラクター紹介】
​茜丸に寄り添う孤児の少女。大仏の手のひらに脱糞するなど傍若無人、天衣無縫なところも。茜丸の死後、その遺骨を持ち、我王に弔ってもらう。
【パーソナリティ分析】
​年貢米を盗んで石子づめにされてしまい、助けてくれた茜丸をだましてしまうなど、協調性の低さが目立ちます。その反面、観音像のモデルとして自己催眠がかかり、結果として素晴らしい仏像を生み出すことにつながるなど、開放性の高さも感じられます。
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【鳳凰編 あらすじ】
奈良時代。隻眼隻腕の盗賊・我王は、諸国を巡るうち彫刻家としての才能を開花。我王に利き腕を斬られた仏師・茜丸は、精進の末に都で名声を高め、東大寺大仏 殿の鬼瓦作りで我王と競うことになるが......。
 
4. ロビタ(復活編
ロビタ(復活編)
ロビタ(復活編)

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ロビタ(復活編)
ロビタ(復活編)

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【キャラクター紹介】
​人間に仕える汎用型ロボット。地上のロビタはすべて西暦3030年の集団自殺で失われるが、月で働いていた1体のロビタだけは自殺する代わりに自ら動力を切り、300年を月面に横たわって過ごす。猿田博士によって拾われ、その助手となる。(※未来編にも登場。)
【パーソナリティ分析】
​理不尽な主人の命令にも粛々と対応しながら、主人であった家庭の子供の行夫くんに親よりも懐かれ、色々な遊びを一緒に実践し、楽しませていたロビタ。このエピソードには、穏やかタイプの特徴がよく表れていると言えます。
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【復活編 あらすじ】
2483年。交通事故で死んだレオナは再生手術で生き返り、ロボットのチヒロに恋をする。二つの心を一つにして、感情を持つロボット・ロビタが誕生する。一方西暦3030年、旧式ながら通常のロボットとは異なる奇妙な人間味を持つロボット・ロビタが、溶鉱炉へ飛び込んで「集団自殺」するという異常事態が発生した。それはなぜなのか、そして月面の貨物施設で酷使される最後のロビタの運命は……。
 
5. ヒノエ(乱世編
ヒノエ(乱世編)
ヒノエ(乱世編)

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ヒノエ(乱世編)
ヒノエ(乱世編)

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【キャラクター紹介】
​奥州平泉で弁太の妻となった娘。男と寝ると盗癖が出る。
【パーソナリティ分析】
​弁太と出会った当初は協調性や外向性の低さから村人たちからの評判も悪く、盗みを働くなど衝動的な行動が目立ちました。夫婦となって弁太がいくさに連れていかれようとした際には、義経の雰囲気から直感的に弁太の身の危険を察知し、またおぶうと再開して自分の元には戻らないだろうと決めつける神経症傾向も見られました。
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【乱世編 あらすじ】
平安時代末期の1172年。平安京の北の山村に住む木こりの弁太は、恋人おぶうと愛を育んでいた。ある日、弁太は薪と猪の皮を売りに行った都で高価な櫛を拾い、持ち帰っておぶうへプレゼントする。ところが、それは藤原成親の持ち物で、弁太一家は成親の一味と見なされて焼討に遭ってしまう。弁太は連れ去られたおぶうを追って都へと出向くが、その先で源義経の仲間にされてしまう。一方おぶうは平清盛の侍女となる。そしてその清盛には、大陸からもたらされた火の鳥を隠し持っているという噂があった......。 (シーンは下巻より)
 
6. ハリマ / 犬上宿禰(太陽編)
ハリマ/犬上宿禰(太陽編)
ハリマ/犬上宿禰(太陽編)

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ハリマ/犬上宿禰(太陽編)
ハリマ/犬上宿禰(太陽編)

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【キャラクター紹介】
​倭軍と共に唐に敗れた百済国の国王・余豊璋の一族。顔の皮をはがされ、狼の皮を代わりに被せられて狼面となり、日本に渡る。狼の顔を持つことで獣の言葉を解し、霊界と人間界の両方に通ずるものとなる。阿倍比羅夫を救ったことから、朝臣として領地と犬神姓を得る。
【パーソナリティ分析】
仏教と産土神の繰り返すいくさを終わらせるために、命を賭けてわざと捕虜になることで一旦は休戦へ持ち込み、大友皇子に交渉にいく。そんな彼を、狗族の長老も信頼して見送ります。外向性、協調性、勤勉性、開放性がいずれも(神経症傾向以外)高い傾向が見られます。
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【太陽編 あらすじ】
7世紀。白村江(韓国) で敗走した百済王族のハリマは、生きながらに顔の皮をはがれ、狼の皮を被せられる。
一方、21世紀の日本は宗教団体 “ 光 ” が支配していたが、対抗組織 “ 影(シャドー)” の工作員スグルは、“ 光 ” の偶像である火の鳥を奪う命令を受ける。7世紀と21世紀の二つの時代を大胆に交錯させて描く、シリーズ中最長の大作。
 

あなたと、あなたの大切な人のパーソナリティ別防災タイプは?

登場キャラクターたちの「パーソナリティタイプ」は、あなたの考える分類と比較してどのように映ったでしょう? また、この特集記事を通して、あなたの「防災スイッチ」はオンになったでしょうか?

防災意識が高まるきっかけ「防災スイッチ」は自分で気付いたり、自分で押すことはなかなか難しいもの。『火の鳥』と本特集を通して、あなたや、周りの大切な方の「パーソナリティタイプ」と「防災スイッチ」を把握し、防災への備えの一助としてお役立ていただければ幸いです。
 

 

“新”『火の鳥《オリジナル版》』について

『火の鳥』は、時空をこえて存在する超生命体・火の鳥を狂言回しに、テーマである「生と死」「輪廻転生」という哲学的な問題を深くえぐる、手塚治虫の代表作にしてライフワークとなった作品です。

各巻タイトルには黎明編、未来編、ヤマト編、宇宙編…と巻数ではなく副題が付され、第一部となる黎明編は3世紀(ヤマタイ国)、第二部の未来編は35世紀、第三部のヤマト編は再び過去へ戻り5世紀頃のヤマトの国…と過去と未来が交互に描かれます。その生き血を飲むと不老不死になれるという伝説の火の鳥を巡って時は流れ、最後には未来と過去の結ぶ点、つまり現在を描くことで完結されるはずでしたが、残念ながら未完のままとなっています。

さまざまな雑誌に長期連載され、これまで数多くの形で単行本化されてきましたが、ストーリー展開やセリフ、絵柄などの内容が雑誌掲載時と異なる場合が多く、オリジナルの《雑誌初出バージョン》は、弊社刊『火の鳥《オリジナル版》復刻大全集』(2011年刊行)まで、一度も単行本化がされませんでした。“新”『火の鳥《オリジナル版》』は弊社創立20周年記念企画として『火の鳥《オリジナル版》復刻大全集』の特長を活かしつつ、手に取りやすく読みやすいA5判・並製、お求めやすい新価格によって装いを新たにしたものです。


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特集掲載日:2021年4月5日

監修:手塚プロダクション

​©️2020-2021 手塚プロダクション

 

​本特集の防災に関する監修協力

本特集の防災に関する監修は、パーソナライズド防災研究所が行っています。
パーソナライズド防災研究所は、「避難訓練や冊子の配布など防災への取り組みは実施されているのに、ひとりひとりの防災行動になかなかつながらない」という問題に対して、ひとりひとりのパーソナリティの分析を通して、防災行動の増加を目指しているプロジェクト型の研究所です。

→パーソナライズド防災研究所について詳しくはこちら

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